Python

令和6年能登半島地震の断層面形状を推定した論文がJGR Solid Earth誌で公開されました

令和6年能登半島地震の断層面形状を推定した論文がJGR Solid Earth誌で公開されました

Fault Geometries of the 2024 Mw 7.5 Noto Peninsula Earthquake from Hypocenter-Based Hierarchical Clustering of Point-Cloud Normal Vectors

翻訳: EN

2024年元日に発生した「令和6年能登半島地震」の断層面形状を推定しました.半島直下に,大小5枚の断層面が海岸線に沿うようにして並んでいます.輪島東部ではより反時計回りに回転した面を抽出したほか,西岸では東に傾斜する面が見られます.これらの局所構造は複雑な断層すべりが発生したことを示唆するとともに,重力異常や地質構造ともよく対応していました.能登半島の形成と地震テクトニクスの理解にも繋がる研究成果です.

関連して,2024年度産総研理事長賞(特別貢献)も連名で受賞しました. 「国の地震防災施策への貢献:令和6年能登半島地震への対応」 ということで,この研究成果が今後の地震防災施策にも貢献できればと思っています.

本研究成果の詳細については,下記の論文およびソフトウェアをご覧ください

  • Sawaki, Y., T. Shiina, K. Sagae, Y. Sato, H. Horikawa, A. Miyakawa, K. Imanishi, and T. Uchide (2025). Fault Geometries of the 2024 Mw 7.5 Noto Peninsula Earthquake from Hypocenter-Based Hierarchical Clustering of Point-Cloud Normal Vectors. Journal of Geophysical Research: Solid Earth, 130(4), e2024JB030233. doi: 10.1029/2024JB030233 (Open Access)
  • 佐脇泰典・佐藤圭浩・内出崇彦 (2025) 点群法線ベクトルを用いた震源クラスタリングによる地震断層面抽出法(FaultNVC)地質調査総合センター研究資料集,no. 759,産業技術総合研究所地質調査総合センター. https://www.gsj.jp/publications/pub/openfile/openfile0759.html
gmt coupeをPyGMTでも使いたい!

gmt coupeをPyGMTでも使いたい!

2023年9月現在,GMTの coupe コマンドは PyGMT で実装されていないため,そのラッパーもどきを作成してみた.coupeは震源メカニズム解のビーチボールを他の視点から描画するコマンドで,特に深さ断面に投影する際に用いられる.そのため,PyGMTで統一的に描画することを検討するなら,coupeも何とか使えるようにしたい.

今回はPyGMTの内部を探り,pygmt.Figureオブジェクトに直接作用する関数を作成して,深さ断面への震源メカニズム解の投影を実現したい.

pygmt.grdtrack()の引数順序

ここ2年ほどは地図情報の描画のために PyGMT を用いている. 「生 GMT 」のような特殊な記載を極力減らし, Pythonicな分かりやすい関数や引数が与えられている点は, (自分のような)GMTをあまり使っていない人にとっても恩恵を授かれる.

ここでは,PyGMTの関数 grdtrack() で少し気になった点を記載する.

ObsPy解説記事の執筆予定

ObsPy は地震波形解析などを行うPythonパッケージである1. 地震波形データの基本処理には Seismic Analysis Code (SAC) が用いられることが多いが,ObsPyは地震カタログや波形データのダウンロードから基本処理,スペクトル解析,描画など,多様な処理をPythonフレームワークで実現できる.