大気海洋研の共同利用研究集会にて基調講演を行いました
東京大学大気海洋研究所共同利用研究集会「 地震学と地質学の統合的発展に向けた若手シンポジウム 」にて,基調講演を行いました.
多くの若手研究者・学生の参加があり,地震学・地質学の今後について熱い議論が交わされました.コンビーナの奥田氏・山谷氏・小澤氏および大気海洋研・山口准教授に感謝いたします.
はじめまして,佐脇泰典(さわきやすのり)と申します.地震学を専門とする若手研究者です.
地震学的手法や機械学習技術などを用いて,地殻内断層の詳細分布や形状,地下構造の空間不均質性などを推定することで,地球内部における地震テクトニクスの更なる理解を目指しています
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期間 | 場所 | 予定 |
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09/24–26 | 高知市 | Workshop on Slow-to-Fast Earthquakes 2025 (ポスター) |
10/20–22 | 福岡国際会議場 | 地震学会2025年秋季大会 (ポスター) |
12/14–19 | New Orleans, LA | AGU25(ポスター) |
東京大学大気海洋研究所共同利用研究集会「 地震学と地質学の統合的発展に向けた若手シンポジウム 」にて,基調講演を行いました.
多くの若手研究者・学生の参加があり,地震学・地質学の今後について熱い議論が交わされました.コンビーナの奥田氏・山谷氏・小澤氏および大気海洋研・山口准教授に感謝いたします.
シンガポールで開催された 22nd Annual Meeting of the Asia Oceania Geosciences Society (AOGS2025) とポルトガル・リスボンで開催された IAGA/IASPEI Joint Scientific Meeting 2025 にそれぞれ現地参加しました.シンガポール・ポルトガル両国とも初めての訪問でした(欧州自体が初でした).リスボン滞在中にケーブルカーの事故が発生したのは非常にショッキングな出来事でしたが,学会自体いろんな発表を楽しむことができました.
Aftershock distribution of the 2024 Noto Peninsula Earthquake, Japan, determined using a 3D velocity structure and uncertainty quantification
令和6年能登半島地震(Mj7.6)では,半島南西から北東の沖合にかけて広範囲に断層破壊を引き起こし,余震活動も広域に広がっています.従来の震源再決定では簡易な一次元速度構造を用いるケースが多く,特に速度構造が複雑な海域の余震震源位置には,大きな不確実性がありました.本研究では能登半島に適した3次元速度構造と,震源決定の不確実性を定量化するマルコフ連鎖モンテカルロ法を用いることで,余震の震源位置を誤差付きで再決定しました.
その結果,北東沿岸の余震活動は深さ15kmよりも浅い場所で発生していることが分かりました.本震によって海底の断層浅部を破壊し,津波発生につながった可能性を示しています.また,半島直下の余震活動の空間分布は,2007年の地震(Mj6.9)の余震分布や半島先端で活発だった群発地震の活動とは大きく異なっており, Sawaki et al. (2025) などの先行研究と調和的でした.
詳細については,Earth, Planets and Space誌に出版された下記の論文をご覧ください.
2025年05月25日–30日の期間に幕張メッセで開催された, 日本地球惑星科学連合(JpGU)2025年大会 に参加しました.今回の学会では非常に多くの方と交流させていただくことができ,個人的に過去一番の学会でした.なお,以下の口頭発表1件とポスター発表1件を行いました
Intraslab reverse faulting adjacent to the hypocenter of the 1923 Kanto earthquake: The Mw 5.0 western Kanagawa earthquake in eastern Japan on 9 August 2024
2024年8月9日に発生した神奈川県西部の地震(Mw 5.0)の断層面形状を 震源クラスタリング で推定しました.プレート境界ではなく,スラブ内で発生した地震であることが分かりました.
査読前の内容であることにご注意いただき,是非ご覧ください
Sawaki, Y., T. Shiina, and T. Uchide. Intraslab reverse faulting adjacent to the hypocenter of the 1923 Kanto earthquake: The Mw 5.0 western Kanagawa earthquake in eastern Japan on 9 August 2024 [Preprint v1]. Research Square. https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-6353744/v1
Fault Geometries of the 2024 Mw 7.5 Noto Peninsula Earthquake from Hypocenter-Based Hierarchical Clustering of Point-Cloud Normal Vectors
2024年元日に発生した「令和6年能登半島地震」の断層面形状を推定しました.半島直下に,大小5枚の断層面が海岸線に沿うようにして並んでいます.輪島東部ではより反時計回りに回転した面を抽出したほか,西岸では東に傾斜する面が見られます.これらの局所構造は複雑な断層すべりが発生したことを示唆するとともに,重力異常や地質構造ともよく対応していました.能登半島の形成と地震テクトニクスの理解にも繋がる研究成果です.
関連して,2024年度産総研理事長賞(特別貢献)も連名で受賞しました. 「国の地震防災施策への貢献:令和6年能登半島地震への対応」 ということで,この研究成果が今後の地震防災施策にも貢献できればと思っています.
本研究成果の詳細については,下記の論文およびソフトウェアをご覧ください
2025年3月31日をもって2年間在籍した産業技術総合研究所を離れ,同4月1日からは立命館大学理工学部の助教に着任しました.研究活動だけでなく,学生教育にも力を入れていきたいと思います.
2025年2月6~9日に弘前にて,SF地震学A03班B03班合同合宿が開催されました.大学院生のみならず,多くの学部生の参加があり,様々な世代の研究者と有意義な議論を交わすことができました.
2024年12月09日から13日にかけてワシントンDCにて開催された “American Geophysics Union Annual Meeting 2024” に参加し,令和6年能登半島地震の断層面形状に関する研究の口頭発表を行いました.関連研究などを行っている世界の研究者と意見を交流する良い機会となりました
2024年11月07–08日に,能登半島地震による大きな地表変状が出現した場所を訪れました. 令和6年能登半島地震を研究対象の一つとしていますが,実際の地表変状を初めて体感しました.地下でどういった断層すべりが発生したのか,あれこれ頭を巡らせながら,地震災害の実情も改めて認識しました.